(元記事は2010年7月30日投稿)
ずいぶん前に書いていた、私のかかっていると思われるミオトニー症候群についての続編です(その後、遺伝子検査により正式にトムゼン病を発症していると診断されました)。
この記事は、この障害の日本語の資料があまりにもなく、私自身、患者として非常に不便でならなかった体験から、少しでも多くの日本の同じ体験をしている人の助けになればと思い、編纂したものです。当然、私も専門家でもなんでもなく(なんせ専門は半導体電子工学です:苦笑)、単にアメリカ在住のオタッキーな社会人出戻り大学院生なんで、興味のある方は下記の事をご留意の上、お読みください。
・あくまで素人が編纂した参考資料です。私にとって完全な専門外ですので、参考資料の真偽のほどなど分かる訳もありませんから、
絶対鵜呑みにしないでください。もし仮に気になる点がありましたら、
最後に記載したこの記事の参考資料を参照なさってください。
・大部分は持ち合わせの辞書や辞典で翻訳したものですので、誤訳の恐れもあります。治療法、特に薬物に関しては
必ず専門の先生の指示を仰いでください。
・このページの内容をもとにした、
あらゆる結果の責任は一切負いかねます。
それと、専門医の方の中には自身の治療指針に口出しをされるのを嫌われる方もいますので、いらない口出しをされると先生の気分を害してしまい、その後の治療に悪い影響を与える可能性があります。
薬の処方などは先生の指示なしには不可能ですので、そこらへんは各々賢く対応してください。
この記事はまだ編纂中で、掲載内容は所有する資料の一部です。今後も時間を見つけて随時更新して行きます。
最終更新日:2011年4月29日
最近の記事に、私の服用している薬と現在の経過についてまとめておきました。興味のある方がおられましたら、ご覧になってください。
2013年11月15日
ミオトニーとパラミオトニー
筋強直(ミオトニー)はいわゆる筋弛緩が上手くできない、筋肉が遅れてリラックスする症状を指し、気温の低下や運動後の長時間の休憩によって悪化し、逆に同じ動作の繰り返しによって軽減します。典型的な症状としては、拳をギュッと握った後にしばらく開く事ができない(把握性筋強直)、または太ももの筋肉などを軽く殴打した際に筋肉が縮んだまましばらく伸びない(叩打性筋強直)、上を長い間凝視した後に下を急に見たときにまぶたが目の動作についてこない(リッドラグ)、などがあります。
Fig. 1: 大腿部の叩打性筋強直 (C. Lossin and L. George, Jr., 2008)。
パラミオトニーは似たような症状を示しますが、筋強直とは異なり、同じ動作の繰り返しで症状が悪化します(症状が似ているのに逆の傾向を示す事から、パラドックスの“パラ”をとってパラミオトニーと呼ぶのだそうです)。パラミオトニーは通常の筋強直と比べて、外部の温度による影響が更に顕著となり、連続した同じ動作による症状の悪化と併せて通常の筋強直との判別に有用です。
たまに起こる脱力について
たまに起きる脱力というのは周期性四肢麻痺の典型的症状です。ただ、これは文字通り四肢(両手足)に必ず同時の起きる訳ではなく、片手だったり、片足だったり、また別の場所の筋肉だったりします。この症状が一番良く現れるのは朝の寝起きだと言われているようですが、食事を抜いたり(ナトリウム系チャネル病)、炭水化物の接種だったり(低カリウムによる周期性四肢麻痺)、休憩後の運動や外部温度が低かったりすると発症するようです。ちなみに私事ですが、私個人としては寝起きが一番手足(特に手)がポワーっとなって力が入らない事が多い気がします。逆にこういう感覚を作るようにしてあげると、夜寝やすくなるんですけど。
筋肉の異常発達について
筋強直はリラックスすべき筋肉が緊張したままになる障害ですので、当然動作するときには反対側の筋肉が必要以上に力を出す必要があります。結果、筋肉の異常発達を起こすと言われているそうです(トムゼン型ミオトニー症候群)。古い例えになりますけど、多分イメージ的には常に“大リーガー養成ギブス(巨人の星です...)”をつけているような感じになるんでしょうか。結果として瞬発的な筋力や持久力を要しない、言うなれば純粋な馬鹿力を使うだけの運動には向いているかもしれません。
塩素系チャネル病: Chloride Channelopathies
大半の筋強直はCLCN-1と呼ばれる遺伝子が突然変異を起こし、骨格筋塩素イオン・チャネル(チャネルというのは、多分該当イオンが流れる通り道みたいな意味だと思います)が塩素イオンを伝達しにくくなった為に起こるものだそうです。大半の患者は薬の補助なしに通常の生活を送る事が可能ですが、生活に支障を来すようなレベルの動きづらさを覚える患者には筋肉の動きにくさ(弛緩しにくさ)を抑える局部麻酔薬、antifibrillar(日本語訳が分からない...)、抗不整脈薬、抗痙攣薬などのナトリウムチャネルを阻害して細胞膜の過剰な刺激を抑える薬が選択肢となるそうです。具体的にはプロカイン、tocainide(日本語名不明)、カルバマゼピン、フェニトインなどだそうです。よくmexiletineと言う薬が使われています(200mgを日に3回摂取)。またデヒドロエピアンドロステロンという副腎皮質ホルモンも、ナトリウムイオンの流れを阻害しつつ、筋力低下の副作用を最小限に抑える効果があるという報告もあるそうです。歴史的には抗不整脈剤や抗マラリアとして使われるキニジンやキニンが投与されたことがあります。しかし、これは少量を短期間であれば問題ありませんでしたが、長期的な投与だと視覚・聴覚異常やめまい、胃腸障害を呈するシンコナ中毒を来たす恐れがあります。更に深刻な神経障害の症状や死にすら至る可能性があるそうです。薬物以外の対処法としては、精神状態が症状に変化を与え、ストレスや精神的な不安定さが筋強直の悪化を招くことから、(精神状態が症状に関連しているからと言って、精神的なものが原因との誤解を招かないのであれば)リラックス方法を学ぶ事は効果的かもしれません。これはお酒の摂取が症状の改善につながったという報告にも合致します。またストレッチなどの柔軟体操も症状が起きている間に行う事は、特に筋肉をつる(違える)事を避ける為に効果的かもしれません。かつては悪性高熱症との関連が取りざたされましたが、症例不足でどうやらまだ立証はできていないようです(J. Parness,
et al., 2009)。ですが、塩化スクシニルコリンに敏感で、全身の筋硬直を引き起こし、挿管やマスクによる呼吸を困難にする恐れがあるそうです。下記のミオトニー症候群は、この塩素イオンの伝達異常によるものです。
ミオトニー症候群: Myotonia Congenita
ベッカー型ミオトニー症候群(劣性遺伝型)はより一般的で、かつ通常は後述のトムゼン型より重い症状を呈します。パラミオトニーほどではありませんが、外部温度が低いときに症状が現れやすく、同じ動作の繰り返しによって症状が軽減します。発症時期は通常10−20歳で症状はゆっくりと悪化していきます。症状は下半身から現れやすく、結果としてふくらはぎや臀部の筋肉の異常発達を招きますが、逆に首や肩周りの筋肉には症状は現れにくいそうです。ただし、年を重ねるごとに足から手、腕や首などに徐々に症状が拡大して行きます。上述の拳を握る動作や上述の叩打性筋強直、リッドラグ等はすぐに確認できます。
トムゼン型ミオトニー症候群(優性遺伝型)は幼少期に発症し、四肢やふくらはぎ、顔に症状が現れます。ミオトニー症候群は筋強直ジストロフィー(myotonic dystrophy)とは筋肉以外の組織異常(extramuscular feature)を呈さない点と顕著な脱力が長時間続かない点で異なります。また、共に筋肉繊維中の活動電位が本人の意思に反して活動停止後や外部からの刺激により継続的に発射し続けられる点が共通しています。ベッカー型の患者はトムゼン型の患者と異なり、休養後の突然の動作によって一部の筋肉が脱力を起こす事があったり、末梢部の筋肉が衰退したりする事があるそうです。
症例
56歳の女性の症例がNature Clinical Practiceに掲載されていました。この女性は5歳のときに軽い歩きづらさを感じ、その後体の動かしづらさを感じた後の2から3分程度の四肢の脱力を頻繁に感じるようになったそうです。学校では短距離走などの運動ができませんでした(余談ですけど、私も全く同じ体験をしました。50メートル走などではスタートから最初の5メートル程度は足が上手く反応してくれなくて、足を引きずりながら走ったもんです)。彼女はいわゆる『ウォームアップ現象』と呼ばれるものと、休憩を挟んだ後の症状の悪化に気づいていました。この『ウォームアップ現象』とは、体をある程度事前に動かす事により、体の動かしづらさというのがある程度改善する現象の事です(これも余談ですが、私もバスに乗る前や駅の階段を上る前には必ず足をある程度上まで振り上げて足踏みをしたり、屈伸をしたりしてから上っています)。他にも彼女は握りしめた拳がなかなか開けない把握性筋強直や低外部温による症状の悪化にも気づいていたそうです。彼女は19歳のときに流産を経験してから、神経科医にかかるようになりました。最初はEMG (electromyogram)で筋強直の確認がなされ、筋強直性ジストロフィー(myotonic dystrophy type 1: DM1)を疑われましたが、筋肉の生検ではその兆候が見られませんでした。その後、彼女は遺伝神経診療(neurogenetic clinic)に紹介されました。彼女は閉経後に体の動かしづらさは改善しましたが、脱力症状は時が経つに連れて悪化したそうです。家族に関して調べた所、当時既に亡くなっていた両親は自覚症状がありませんでした。弟に関しては同じように筋強直症状を訴えていたようですが、調査当時既に事故で亡くなっており、これ以上の調査は行えませんでした。彼女の子供に関しても、自覚症状はなかったようです。診断の結果、筋肉組織には異常発達も異常衰退も衰弱も認められませんでした。しかし明らかな把握性筋強直、叩打性筋強直、眼瞼痙攣、リッドラグ、そして全身の動きづらさが見て取れました。EMGは右の三角筋、総指伸筋、第1脊椎骨間筋で行われ、特徴的な筋強直の爆撃音が聞いて取れました。短時間の運動でCMAP (compound muscle action potential)が基準値から62%も下がった一方、10Hzの反復した神経刺激試験ではCMAPは42%の基準値からの低下が観測されました。この試験箇所は右の手首の尺骨神経に両極電極(bipolar bar electrode)を埋め込み、小指伸筋に表皮電極(skin electrode)を取り付けて記録を行いました。これらの結果はミオトニー症候群と非常に疑われるものだったため、血液サンプルを摂取し、遺伝子検査へと回されました。CLCN1を司る23すべてのエクソンとイントロンが検査され、かつて劣勢型ミオトニー症候群として報告されていたホモ接合体の突然変異が認められました。この患者はこの結果を告知され、mexiletine 200mgを1日2回摂るように指示を受けました。最後の診断は処方されてから2ヶ月後に行われ、幾分かの体の動かしづらさの改善が認められました。悪性の副作用は一切認められなかったため、その後も同じmexiletineの処方が行われました。
ナトリウム系チャネル病: Sodium Channelopathies
このチャネル病はSCN4Aと呼ばれるSkm-1骨格筋チャネルに突然変異が起こったもので、チャネル病パラミオトニー、高カリウム性周期性四肢麻痺、低カリウム性周期性四肢麻痺、カリウム惹起性周期性四肢麻痺を引き起こすと考えられているそうです。もっとも、低カリウム性周期性四肢麻痺はより一般的には後述の骨格筋カルシウム・チャネルの突然変異によるものとされているそうですが。この障害には局部麻酔薬やリドカイン、mexiletineやリドカインの派生薬などのクラス1bの抗不整脈薬が、体の動きづらさやパラミオトニー症候群の低外部温度による脱力を抑える為に試されてきましたが、これらとは対照的に高カリウム性周期性四肢麻痺に典型的なカリウム接種による脱力症状や発作にはmexiletine(200mg、1日3回)は効き目がありませんでした。ヒドロクロロチアジドやアセタゾルアミドなどの利尿剤(250mg、1日2回)は血清カリウム濃度を下げることにより恐らくpH値を下げ、脱力症状の頻度や症状を和らげる事ができるそうです。
パラミオトニー症候群: Paramyotonia Congenita
幼少期に発症し、主に延髄、顔、首、そして手の筋肉に症状が発現します。ミオトニー症候群と異なり運動を繰り返すことにより悪化し、よく脱力症状がその後に続きます。外部温度低下による症状の悪化はミオトニー症候群より通常ひどく、アイスクリームを食べると舌が動かなくなったり、泣きはらすと眼輪筋が痙攣を起こしたりします。症状は通常進行せずに生涯通して同じ状態を維持しますが、青春期に脱力症状の発作や高カリウム血症を起こすことがあります。
高カリウム性周期性四肢麻痺: Hyperkalaemic Periodic Paralysis
この障害の患者はよく数分から1時間に及ぶ、さまざまな箇所の脱力症状を呈します。発症時期は10歳位までで、外部温度が低かったり、食事を摂取しなかったり、運動後の休養や精神的ストレス、カリウム分を含むもの(フルーツジュースなど)を摂取したりすると発現する傾向のようです。症状は炭水化物を採ったり、軽い運動を行ったりすると軽減します。症状の発現中は深部の腱の反射が弱いことや、発現直後に採取すると血清カリウム濃度が上がっている事(4.5-8.0mM)などで診断可能なようです。パラミオトニーと併発することもあります。
カリウム惹起性ミオトニー症候群: Potassium-Aggravated Myotonia
ナトリウム系チャネル病の中にはカリウムに過敏なものもあり、カリウム惹起性ミオトニー症候群としてまとめられています。何種類かの亜種が存在し、痛みを伴うものや運動によって引き起こされるものなどがありますが、共通してカリウム摂取後に症状が悪化します。しかしほかのナトリウム系のチャネル病と異なり、外部温度低下による症状の悪化や極度の脱力症状は呈しません。
カルシウム系チャネル病: Calcium Channelopathies
このチャネル病には2種類の異なった筋カルシウム・チャネル異常が存在します。1つはRYR1と呼ばれる遺伝子部位の突然変異によって引き起こされ、もう1つはCACNA1Sと呼ばれる遺伝子部位の突然変異によって起こされると考えられているようです。前者は筋小胞体カルシウム・チャネル、後者は後述の低カリウム性周期性四肢麻痺の原因となっているようです。この障害は優性遺伝ですが、女性での発症は少ないと報告されています。最近になってこの低カリウム性周期性四肢麻痺はSCN4Aの第12エクソンでの突然変異と関連づけられる報告がされたそうです。
低カリウム性周期性四肢麻痺: Hypokalaemic Periodic Paralysis
この低カリウム性周期性四肢麻痺は、もっとも一般的な遺伝性の周期性四肢麻痺です。前述の高カリウム性周期性四肢麻痺と同じように、脱力症状は低外部温度や長時間の休憩、運動後の休憩、それに精神的なストレスが原因で発症しますが、その発症時間は高カリウム性のものに比べて長い事が一般的なようです(数時間から数日)。高カリウム性周期性四肢麻痺と異なり、食事の摂取をしない事よりも食べ過ぎた場合に発症する可能性が高く、患者は大量の食事摂取の翌日、歩行中に四肢麻痺に見舞われるという事もあるそうです。発症中のdeep tendonの反射が鈍い点が、この障害に該当するかどうか診断する上で重要となるそうです。また、血清カリウム濃度が通常下がるそうです(2-3 mM)。症状は非常に軽く、全く発症していないように見える場合もある一方で、たまに呼吸器不全を起こすような重篤なものも報告されています。似たようなものに症状的な血中カリウム不足症(symptomatic hypokalaemia)というのがあります。この症状はよくカリウムを排出しすぎる利尿剤とからめて扱われていますが、アルドステロン症や不適切な食事の摂取、(発汗や胃腸、腎臓による)大量のカリウム欠乏や恒常的なカンゾウの摂取などの結果である可能性もあります。この症状的なカリウム不足症の患者は定期的な脱力症状の発作ではなく、よく連続的な症状を訴えています。極東では甲状腺亢進症がこの低カリウム性周期性四肢麻痺と似た血清カリウム濃度低下を起こす事があるようですが、原因は分かっていません。
カリウム系チャネル病: Potassium Channelopathies
MinK遺伝子に突然変異を持つ、かなり稀な高カリウム性周期性四肢麻痺と、Kir2.1カリウムチャネルを司るKCNJ2遺伝子に突然変異を持つアンダーセン症候群という2種類のカリウム欠乏型チャネル病が確認されています。
アンダーセン症候群: Andersen's Syndrome
この障害の診断は基本的に以下の3つの基準からなっています:
1. 周期性四肢麻痺
2. 長いQT時間か、心室不整脈
3. 異常な組織形状の確認
心臓に関しては幼少期の不整脈から心停止が含まれるため、心臓専門医の特別な注意が必要となります。組織形状異常については、低身長、耳の位置の異常、極度の神経質さ、極度に小さい顎や短い人差し指、つま先の合指症などが見受けられます。この形状異常は非常に見つけにくい場合があり、心臓異常に関しては発症時期は特定できません。ですので、周期性四肢麻痺を煩う患者については、注意深い組織形状異常の観察と12-lead ECGによる診断が求められます。
診断
組織検査
血清CK値はチャネル病において僅かながら上昇が認められる場合がありますが、診断としては使い物になりません。脱力症状を発作中の血清カリウム濃度も、カリウム関連のチャネル病では上下するかもしれませんが、特段二次的なカリウムの関連した異常がある場合を除いて、発作と発作の間では異常は認められません。考慮すべき二次的要素としては、カリウムを消耗する利尿剤の使用、アルドステロン症、不適切な食事の摂取、異常な発汗、下痢、腎臓の機能異常とカンゾウの慢性的な摂取が挙げられます。周期性四肢麻痺を呈する患者には心臓異常の懸念から12-lead ECGは必ず行うようにしてください。ミオトニー症候群では2B型筋線維欠陥が認められ、低カリウム性周期性四肢麻痺では小胞を伴った筋障害(vacuolar myopathy)が認められていますが、基本的には筋組織の生検は必要ありません。DNA検査は現在では最も早く、正確で安全な診断方法となっています。正確な遺伝情報の診断は医療診断上だけでなく、カウンセリングやセラピー方法の選択の上で重要です。神経系統の診断は周期性四肢麻痺の
発作時にCMAPsが落ちる事を除いて、異常は認められません。筋線維の活動電位は通常、異常は認められませんが、トムゼン型のミオトニー症候群や末期の周期性四肢麻痺では多少の筋障害による変化(myopathic change)が見られるかもしれません。筋強直性放電(myotonic discharge)はミオトニー症候群筋異常の非常に重要な特徴です。これは高カリウム性周期性四肢麻痺にもある可能性はありますが、低カリウム性周期性四肢麻痺には認められません。パラミオトニー症候群では、最初の密集した繊維攣縮とそれに次ぐ電気的沈黙(長時間の痙縮)が筋肉冷却(20 ºC)で認められます。短時間、および長時間の運動試験の最中、および後のCMAP振幅変化はミオトニー症候群とパラミオトニー症候群の診断の上で有用です。Nature Clinical Practiceに掲載されていた診断チャートが使いやすそうだったので、ここに転載しておきます。
Fig. 2: ミオトニー症候群の診断チャート。DM1とDM2は1型と2型の筋強直ジストロフィー(myotonic dystrophy)を指します(N. Chrestian,
et al., 2006)。
参考資料:
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ACNR (advances in clinical neuroscience & rehabilitation), Vol.3, pp-14-17, March/April 2003.
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N. Chrestian, J. Puymirat, J.-P. Bouchard, and N. Dupre, "Myotonia Congenita - a Cause of Muscle Weakness and Stiffness,"
Nature Clinical Practice Neurology, Vol.2, No.7, pp.393-399, July 2006.
C. Lossin and A. K. George, Jr., "Myotonia Congenita,"
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J. Trip, G. G. Faber, H. B. Ginjaar, B. G. M. van Engelen, and G. Drost, "Warm-up Phenomenon in Myotonia Associated with the V445M Sodium Channel Mutation,"
J. Neurol., 254, pp.257-258, 2007.
栗原照幸, "ミオトニーとチャネロパチー,"
臨床神経, 39, pp.1219-1221, 1999.
E. P. Hoffman, F. Lehmann-Horn, and R. Rudel, "Overexcited or Inactive: Ion Channel in Muscle Disease,"
Cell, Vol.80, pp.681-686, 1995.
J. Parness, O. Bandschapp, and T. Girard, "The Myotonias and Susceptibility to Malignant Hyperthermia," Anesthesia and Analgesia, Vol.109, No.4, pp.1054-1064, October 2009.